13歳のハローワーク

2004年2月29日

現在、村上龍の「13歳のハローワーク」がベストセラーになっているそうです。私もちらっと読んでみたところ、弁護士、医者などの定番の職業と並んで、”シャーマン”という職業も名を連ねていたのには驚きました。
詳しく読んでみると、シャーマンとは神に祈祷をささげる儀式をする人で、誰でもなれるものではない、等と書かれていました。
じゃあ、なぜ誰でもなれる職業ではないのに、この本に載せたのでしょうか?
村上龍といえば、「限りなく透明に近いブルー」で鮮烈な文壇デビューを果たした作家ですが、当初も「限りなく透明に近いブルー」はかなり過激な内容だったと記憶しています。その後も数々のベストセラーやコラムニストとして第一線で活躍しています。私も大好きな作家の一人であり、彼の並外れた感性と先見の明にはいつも感服させられています。(何をかくそう文章書くときは、なるべく尊敬すべく村上龍と斉藤薫両氏のような文章を書こうといつも心に決めているのですが(笑))
その村上龍がわざわざ載せたからには、もしかしたら10年後には、この本を読んでシャーマンになりたいと思った子供たちが大きく羽ばたいているかもしれません。
そもそも今はなき太平洋のアトランティス大陸では、現在以上の高度文明を誇っていたことは有名ですが、中でも医療の分野では、医者と神官とヒーラーが3分野で両立して存在していたわけですし、さらに当時はアロパシーと呼ばれる現在の医者が行っている治療方法は過激派とまでみなされていたそうです。そのアトランティス大陸もあまりの高度文明のいきすぎゆえに、現在の先進国のように自然破壊などを繰り返して、やがて滅亡してしまったわけですが、今の地球全体も似たような状況に陥っていることは否めないのではないでしょうか。
もちろん、アトランティス大陸時代のように、もういちど医者と神官とヒーラーを復活させよう、とは言いませんが、ここ最近のスピリチュアルブームといい、自然と回顧現象が起きているような気がしています。
そこにきて、この「13歳のハローワーク」でシャーマンという職業がわざわざピックアップされたことに、私はとても大きい意味を感じざるおえません。一体どれだけ多くの13歳達が興味を惹かれるのかは分りませんが、”誰でもなれる職業ではない”と書きつつ、あえてピックアップした村上龍の感性にはやはり脱帽です。

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